YKKの新めっき技術 AcroPlating (アクロプレーティング)® が環境負荷を大幅低減 NEWSアイコン

従来のめっき薬品を一切使用せず、シアン、クロム、セレンなどの有害物質を100%除去 ~LCA調査にて環境負荷の大幅低減を立証~

 

  1.  YKK株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大谷裕明、以下YKK)が開発した、従来のめっき薬品を一切使用せず、シアン、クロム、セレン等の有害物質を100%除去したブラス材向け新めっき技術 AcroPlating (アクロプレーティング)®(以下AcroPlating®)が、この度、サステナビリティコンサルティング会社Peterson Projects B.V.(※1)によるライフサイクルアセスメント(※2、以下LCA)調査にて、「主に熱エネルギー使用、温室効果ガス排出および汚泥排出において、環境負荷低減への利点がある」との結果を得ました(※3)。
  2.   
  3.  従来のめっきは、製造工程でシアンやクロム等の環境に有害な物質を含む薬品を使用する他、大量の水や電気を使用するなど環境負荷への対応が課題となっていました(※4)。YKKが開発したAcroPlating® は、従来のめっき薬品を一切使用せず、シアン、クロム、セレンといった有害物質を製造工程から完全に排除することに成功しました。これにより、有害物質による環境負荷をなくした他、製造工程で排出される温室効果ガスの96%削減、水使用量の66%削減、消費電力の69%削減(※5)を実現しました。
  4.   
  5.  YKKでは2019年に AcroPlating® を開発し、同年より本技術を使用したファスナー(スライダー)とスナップ・ボタンを販売開始しております。スナップ・ボタンにおいては、2020年4月にPeterson Projects B.V.によるLCA調査を実施しており、この度のファスナーにおけるLCA調査結果を受け、ファスナーとスナップ・ボタンの両商品で、AcroPlating® が環境負荷を大幅に低減することが示されました。
  6.  尚、シアン、クロム、セレンは人体や生物の健康にも悪影響を及ぼすため、これらを100%除去したAcroPlating® を使用することにより、製造工程の作業環境の改善にもつながります。

  7. ※1:1920年設立のPeterson Control Union World Groupのアドバイザリー部門https://www.petersoncontrolunion.com/en
  8. ※2:製品・プロセスのライフサイクル全体(原料採取、生産、消費および廃棄)における環境負荷と潜在的影響を調査する手法。参照基準はISO14040、14044
  9. ※3:ファスナーのスライダー部分のめっき工程に関して、AcroPlating® と従来方法における環境負荷を比較
  10. ※4:YKKでは製造工程で発生する有害物質や廃棄物は関連法制や条例等に定められた規制基準値内に浄化し、排水・廃棄する等適切な処理を行っています
  11. ※5:3Y GSBN8 NH3のYKK黒部事業所生産品における従来めっきと AcroPlating® の比較

  12. ■AcroPlating® による表面処理(スライダー、スナップ・ボタン)
  13.  YKKは2050年までに「気候中立」を達成するための持続可能性目標である「YKK サステナビリティビジョン2050」を掲げ、「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5つのテーマで目標を設定し、それぞれに関連する10項目のSDGsの達成にむけて取り組んでおります。AcroPlating® は、そのうち「気候」「資源」「水」「化学物質」の4つのテーマでビジョンを達成する取り組みの一環となるものです。

  14.  YKKはこれまで、再生PETを使用したリサイクルファスナー NATULON®、植物由来ポリエステルを使用したファスナー GreenRise® や海洋プラスチックごみを使用したファスナー NATULON® Ocean Sourced® など、環境配慮型商品の開発を積極的に進めてまいりました。また、染色工程で水をほとんど使用しない染色技術 ECO-DYE® やこの度の AcroPlating® といった環境配慮型技術の深耕にも努めております。YKKは今後も「YKKサステナビリティビジョン2050」の目標達成の取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

  15. 【YKK 株式会社 代表取締役社長 大谷 裕明によるコメント】
  16.  YKKでは中期経営ビジョンとして「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」を掲げ、環境負荷低減などの新技術の研究開発に日々取り組んでおります。2021年4月には、これまで取り組んできた要素技術開発を継続・強化しつつ、積極的に新たな技術や知見を取り込むため、研究開発部門として「テクノロジー・イノベーション・センター」を新設しました。
  17.  この度の AcroPlating® の第三者認証機関によるLCA調査結果を受け、より一層、環境に配慮した技術の深耕と商品の開発強化に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。

  18. ■AcroPlating® の環境負荷低減データ、および、Peterson Projects B.V.によるLCA調査レポート
  19. ファスナー(スライダー) YKK黒部事業所生産品 従来比
  20. ・有害廃棄物:     100%除去
  21. ・熱エネルギー使用量: 100%削減
  22. ・温室効果ガス排出量:  96%削減
  23. ・水使用量:       66%削減
  24. ・汚泥排出量:      92%削減
  25. ・電力使用量:      69%削減
  26. ・薬品使用量:      59%削減
  27. ※ 調査アイテム3Y GSBN8 NH3
  28. (主にジーンズやコットンパンツに使用されるファスナー)

  29. スナップ・ボタンYKK深セン社生産品 従来比
  30. ・有害廃棄物:     100%除去
  31. ・熱エネルギー使用量: 100%削減
  32. ・温室効果ガス排出量:  88%削減
  33. ・水使用量:       65%削減
  34. ・汚泥排出量:      90%削減
  35. ・電力使用量:      60%削減
  36. ・薬品使用量:      67%削減
  37. ※( )内は対象表面処理

  38. ■YKKデジタルショールーム(英語版)
  39. YKKのサステナビリティへの取り組み、環境配慮型商品の詳細はYKKデジタルショールームでご覧頂けます。
  40. https://ykkdigitalshowroom.com/

  41. 参考情報:YKK株式会社ニュースリリース
  42. ■「YKKサステナビリティビジョン2050」
  43. 2050年までに「気候中立」を達成するためのYKK株式会社の持続可能性目標。「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5つのテーマと、関連する10項目のSDGsの達成にむけて取り組んでいます。
  44. https://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/g_news/2020/20201013.html

  45. ■YKKの2030年度に向けた温室効果ガス削減目標
  46. 「SBT(Science Based Targets)イニシアティブ」による「1.5℃目標」の認定取得
  47. YKK株式会社の2030年度に向けた温室効果ガスの削減目標が国際的な団体の「SBTイニシアティブ」により、気候変動による世界の平均気温上昇を産業革命前と比べ1.5度未満に抑えるという「1.5度目標」であると認められ、2021年3月に認定を取得しました。
  48. https://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/g_news/2021/20210315.html